2015年8月19日水曜日

第1回 漆材料技術研究会のご報告

日時:平成27年7月22日(水)13:30~17:30
会場:京都府立大学稲盛記念館

漆の掻き方について説明中の竹内さん


テーマ1「漆の育て方・掻き方・道具の産地別比較その1」
進行:竹内耕祐

当会代表の竹内さんから丹波漆での育苗・漆掻きのスケジュールや工程、道具や傷のつけ方について、お話していただきました。
分根・植栽・消毒・肥料・シカやイノシシなどの害獣対策・掻き方等について、その時期的な流れと各作業の詳細について知ることができました。

今後は、今回の丹波漆での漆掻きのスケジュールや工程をたたき台として、国内外の漆産地のやり方を比較をしていく予定です。



テーマ2「既出文献から豚血下地法を学ぶ」
進行:丸山智洋

豚血下地の実験に先立って、過去の文献から、豚血下地の材料や配合比、調合工程を探したものをまとめたものを紹介しました。

(今回、参考にした文献)
・三山 喜三郎 「琉球漆器調査報告書」 『工業試験所報告 第四回』 (東京)工業試験所 明治41年
・澤口 悟一 『日本漆工の研究』 丸善 昭和8年
・伊禮 綾乃 「沖縄の豚血下地について」 『よのつぢ 浦添市文化部紀要 第3号』 浦添市教育委員会文化部文化課 平成19年

豚血下地の主要な材料は、粘土(クチャ)、豚血、桐油、光明丹、木屑、砂・ニービ(地之粉のようなもの)で、各材料の配合比率は文献によって結構バラツキがありました。
このため、豚血下地の再現実験の時には、材料の配合比率をいくつかふって実験してみたいと思います。

調合工程はクチャを豚血で練り、そこにボイル桐油(光明丹入り)を加えてさらに練るという手順で、下地材料を作るだけで延べ2日仕事になりそうです。

豚血下地の再現実験については、また改めて日にちを設定してご案内する予定です。
ほとんど伝説上のものになってしまった下地材料なだけに、再現が楽しみです。